「ベネフィット・リスクアセスメント」活用のすすめ
・英国では、受容できる良い危険性か、受容できない悪い危険性かを判断する方法として「遊びのリスク管理導入ガイド」が2002年に発刊され、欧米に広く普及しました。さらに、「ベネフィット・リスク」を積極的に提供する方法として、ISO(国際標準化機構)の「余暇、レジャーおよびスポーツ施設の安全対策」国際委員会が「ベネフィット・リスクアセスメント」の導入ガイドラインとしてISO4980が2023年5月に刊行されました。その概要を下の図「ベネフィット・リスクアセスメントの進め方」で説明していますので、公園や誰もが遊べるインクルーシブな遊び場の管理者や関係者の方は、子どもたちが生きる力やレジリエンスを身に付ける事のできる遊び場づくりに向けて、「ベネフィット・リスクアセスメント」をご活用ください。
遊び場の危険性に関する「判断の見える化」を
・子どもたちの冒険心や挑戦心によって生じるリスクが、受容できる「ベネフィット・リスク」なのか、受容できない「ハザード」なのかという判断は難しい問題です。なぜなら、提供されるベネフィット(便益・効用)と、デメリット(事故やケガなど)のバランスを、下の図のように①~③でそれぞれ診断や評価を行った上で、④では総合的に、②と③の定性的な情報に基づいて、状況によって変化するグレーな領域の危険性である中間のリスクについて「ベネフィットが中間のリスクを上回っているかどうか」の最終的な判断が求められるからです。このような遊び場の危険性に関する「判断の見える化」は、子どもたちの冒険心や挑戦心が満たせる遊び場づくりのために必要不可欠です。